こんにちは!映画ブロガーのともぴんです。
突然ですが、皆さんは「この人が出ている作品なら、とりあえず見てみようかな」と思う俳優さんはいらっしゃいますか? 私にとって、まさにそんな存在が小林聡美さん。
彼女の出演作品には、不思議と心穏やかになれる、それでいてどこかクスッと笑える、そんな独特の魅力が詰まっています。派手さはないけれど、じわじわと心に染み渡るような、まるで良質なエッセイを読んだ後のような読後感ならぬ「観後感」を与えてくれるんですよね。
今回は、そんな小林聡美さんの唯一無二の魅力を、出演作品から深掘りしていきたいと思います!
ともぴんオススメ小林聡美出演作
それでは、数ある小林聡美さんの出演作の中から、ぜひ皆さんに見ていただきたい作品を厳選してご紹介します!
『かもめ食堂』(2006年公開)

あらすじ
フィンランドの首都ヘルシンキにある小さな食堂を舞台に、3人の日本人女性が織りなす穏やかな日常をつづったドラマ。作家・群ようこの同名小説を原作に、長編劇場デビュー作「バーバー吉野」で注目を集めた荻上直子が脚色・監督を務めた。日本人女性サチエはヘルシンキの街角に「かもめ食堂」という名の小さな食堂をオープンさせるが、客は一向にやって来ない。そんなある日、サチエはひょんなことから日本人旅行客のミドリと知り合い、店を手伝ってもらうことに。やがてサチエの店には、個性豊かな人々が次から次へとやって来るようになり……。小林聡美、片桐はいり、もたいまさこが3人の日本人女性を演じ、「過去のない男」のマルック・ペルトラが共演。
記念すべき小林聡美さんの代表作といえば、やはりこれ! フィンランドのヘルシンキを舞台に、日本人女性・サチエ(小林聡美)が営む「かもめ食堂」に集う人々との出会いを描いた物語。
この作品の見どころは、何と言ってもフィンランドの美しい風景と、そこに溶け込むように存在するサチエの丁寧な暮らしぶりです。おにぎりや鮭の塩焼き、シナモンロールといった素朴な料理が、スクリーンいっぱいに広がり、食欲をそそります。
サチエの多くを語らないけれど、芯のある佇まい、そして時折見せる茶目っ気。小林聡美さんの魅力が存分に発揮された作品です。観終わった後は、「私もこんな風に、丁寧に日々を暮らしたいな」と、きっと心に温かいものが残るはず。
『めがね』(2007年公開)

春まだ浅いころ。この世界のどこかにある南の海辺の小さな町に不思議な予感が漂う。「来た」プロペラ機のタラップを降り、小さなバッグひとつを手に浜を歩いてくる、めがねをかけたひとりの女。待ち受けていた男と女に向かい、彼女は深々と一礼する。静かな波が寄せては返す。時を同じくして、同じプロペラ機からもうひとりの女が降り立った。名前はタエコ(小林聡美)。大きなトランクを引きずりつつ、手描きの地図を片手に浜を歩き、奇妙ななつかしさの小さな宿・ハマダにたどり着く。出迎えたのは宿の主人ユージ(光石研)と愛犬コージ(ケン)。迷わずにたどり着いたタエコに彼は「才能ありますよ」と告げる。「ここにいる才能」。次の日宿の一室で朝を迎えたタエコの足元に不敵な微笑みをたたえためがねの女サクラ(もたいまさこ)の姿があった。それから起こるのはいちいち不思議なことばかりだった
『かもめ食堂』のチームが手掛けた、沖縄の離島を舞台にした作品。都会の喧騒から離れ、携帯電話もつながらないのんびりとした宿で、小林聡美さん演じるタエコが心と体を癒していく物語です。
この映画は、時間の流れが非常にゆっくりで、まるで自分もその島に滞在しているかのような感覚に陥ります。小林聡美さんが演じるタエコが、最初は島ののんびりとした雰囲気に戸惑いながらも、次第に心を開いていく様子は、目がウルウルしてしまいます。
「たそがれる」という言葉がキーワードとなるこの作品は、デジタルデトックスの必要性を感じている現代人にとって、心の栄養剤となること間違いなし!
『プール』(2009年公開)

4年前、祖母と娘さよのもとを離れ、チェンマイの郊外にあるゲストハウスで働き始めた母・京子(小林聡美)。大学の卒業を目前に控えた今、さよ(伽奈)はそんな母を訪ねて、一人、チェンマイ国際空港に降り立つ。迎えに現れたのは母ではなく、母の仕事を手伝う市尾(加瀬亮)だった。小さなプールがあるゲストハウスにはビー(シッテイチャイ・コンピラ)という名前のタイ人の子供と不思議な空気感を持つオーナーの菊子(もたいまさこ)がいた。さよは久々に会った母が、初めて会う人たちと楽しそうに暮らしている姿を受け入れることができず、戸惑いを感じていた…。
タイのチェンマイにあるゲストハウスを舞台に、親子関係や人生の選択について描かれた作品です。小林聡美さんは、タイでゲストハウスを営む娘(もたいまさこ)のもとを訪れる母親を演じています。
この作品もまた、異国の地でのゆったりとした日常が描かれており、観ているだけで旅をしているような気分になれます。小林聡美さんの、多くを語らないけれど、娘を温かく見守る母親の姿が印象的です。
海外の風景と、そこに暮らす人々の温かさ、そして家族の絆が、じんわりと心に響く一作です。
ツユクサ(2022年)
とある小さな田舎町で暮らす芙美(ふみ)。気の合う職場の友人たちとほっこり時間を過ごしたり、うんと年の離れた親友の少年と遊びに出かけたり、ある日、隕石に遭遇するというあり得ない出来事を経験したり。そんなふうに日々の生活を楽しく送るなかで、ときおり見え隠れする芙美の哀しみ。彼女がひとりで暮らしていることには理由があって、その理由には“ある哀しみ”があって、そして草笛をきっかけに出会った男性と恋の予感も訪れて……。
主人公は、小さな島で一人暮らしをする女性・芙美。不器用で、ちょっと周りの目を気にしてしまう彼女の元に、ある日突然「隕石」が降ってきます。この非日常的な出来事をきっかけに、芙美の日常が少しずつ動き出していきます。
人生には予期せぬ出来事が起こります。それは、一見すると不運に見えるかもしれません。しかし、もしかしたらそれは、私たちの日常を少しだけ豊かにしたり、新しい気づきを与えてくれる「贈り物」なのかもしれない。そんなことを教えてくれる、優しい映画です。
ドラマ『パンとスープとネコ日和』(2013年)

ずっと母との2人暮らしだったアキコ(小林聡美)は、母の突然の死、そして勤めていた出版社の理不尽な人事異動で、母の営んでいた食堂を自分でやっていく決心をします。自分のセンスで改装したアキコの新しいお店は、パンとスープだけというシンプルなメニュー、お手伝いのしまちゃん(伽奈)との2人だけの小さな店。ある日現われた1匹のネコと暮らし始めるアキコ、そして、アキコの周りには、楽しく世話をしてくれる、商店街の大人たち…。
小林聡美さん演じるアキコが、母の死をきっかけに勤めていた出版社を辞め、サンドイッチとスープのお店を開く物語です。
このドラマは、まるで絵本のような世界観と、美味しそうなパンとスープの数々が魅力です。小林聡美さんが演じるアキコの、新しい一歩を踏み出す姿、地域の人々との温かい交流が、私たちに「自分らしく生きる」ことの大切さを教えてくれます。
猫も重要なキャラクターとして登場し、その存在がまた、物語に癒しを与えてくれます。日々の暮らしに疲れた時に、そっと寄り添ってくれるような、そんなドラマです。
ドラマ「ペンションメッツァ」(2021年)

長野の別荘地、カラマツ林の中の一軒の家の前に、「ペンションメッツァ」と書かれた看板が控えめに立っている。そのペンションの客室は一室のみで、その家に住むテンコ(小林聡美)はひとりでマイペースに暮らしていた。たまにふらりと現われる客はだいたいがひとり客ばかり。そんな客たちと関わっていくうちにテンコ自身も、自分のありように気付き始める
WOWOWで放送されたドラマ『ペンションメッツァ』は、まさに「大人のための童話」のような作品です。小林聡美さん演じるテンコさんが、長野の山深くにあるペンション「メッツァ」を一人で切り盛りし、そこに訪れる様々な客との出会いを描きます。
忙しい日々の中で見失いがちな「自分自身の心」と向き合う時間を与えてくれる、そんなドラマです。あなたも日々の喧騒を忘れ、「ペンション メッツァ」の世界に浸ってみませんか?
なぜ小林聡美作品は私たちの心を掴むのか?
ご紹介した作品の他にも、小林聡美さんが出演されている作品はたくさんありますが、共通して言えるのは、どれも「ちょうどいい」幸福感に満ちていることです。
大きな事件が起きるわけでもなく、派手な演出があるわけでもない。ただ、そこにいる人々の何気ない日常や、心の動きが丁寧に描かれている。だからこそ、彼女が演じるキャラクターに共感し、その生き方にそっと背中を押されるような気持ちになるのです。
それはまるで、疲れた時に温かいお茶を淹れてくれるような、そっと寄り添ってくれる存在。小林聡美さんの作品を見ていると、「あぁ、これでいいんだな」「もっと肩の力を抜いて生きてみよう」と、自分自身を肯定できるようになる気がします。
日々の忙しさの中で少し立ち止まってみたい、心の栄養補給をしたい、と感じている時は、ぜひ小林聡美さんの出演作品を手に取ってみてください。きっと、あなたにとっての「ちょうどいい」幸せが、そこに見つかるはずです。

ともぴん
コメント