夏の風物詩ともいえるジブリ映画。その中でも、毎年夏になると私たちの心を強く揺さぶる作品が、『火垂るの墓』ですよね。私も先日、久しぶりにこの作品を観て、改めてその深いメッセージと、大人になってからの「見え方」の違いに深く考えさせられました。
小学生の頃に初めて観た時と、今では感じ方が全く違うんです。初めて観た時の**「恐ろしさ」や、清太と節子の境遇に対する「怒り」。もちろんそれらが消えるわけではありませんが、大人になった今では、あの時代を「必死に生き抜かねばならなかった人々の現実」として、より深く、そして多角的に捉えられるようになりました。
「平和な時代に生きる私たちだからこそ、この作品から何を感じ取るべきか?」
今回は、そんな『火垂るの墓』について、まだ観たことがない方、そしてもう一度じっくり観てみたい方のために、そのあらすじ、実話の背景、声優、そして深く知りたいポイントまで、徹底的に解説していきます!
視聴方法
7年ぶりの地上波放送!2025年夏の金曜ロードショーで
『火垂るの墓』は、2025年8月15日(金)21時より、日本テレビ「金曜ロードシネマ」で放送が予定されています。実に7年ぶりの地上波放送となり、多くのファンがこの機会を心待ちにしています。
終戦記念日に放送されるこの作品は、私たちの平和への思いを新たにする貴重な機会となるでしょう。
Netflixでいつでも視聴可能!
地上波放送を見逃してしまっても大丈夫!『火垂るの墓』は、大手動画配信サービスNetflixで配信されています。
- 視聴方法: Netflixに登録後、検索バーで「火垂るの墓」と入力すれば、いつでも好きな時に視聴できます。自宅でじっくりと、この深い物語と向き合いたい方にはおすすめです。
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あらすじ
直木賞を受賞した野坂昭如の短編小説をスタジオジブリの高畑勲監督が映画化し、終戦間近の神戸を舞台に戦災孤児の兄妹がたどる悲劇的な運命を描いた名作アニメーション。昭和20年、夏。父が出征中のため母と3人で暮らす14歳の清太と4歳の節子の兄妹は、空襲によって家を焼け出され、母も亡くしてしまう。2人は遠縁の親戚の家に身を寄せるが、次第に邪魔者扱いされるようになり、ついに耐えきれなくなった清太は節子を連れて家を飛び出す。防空壕に住み着いた彼らは、2人きりの貧しくも楽しい生活を送り始めるが……。
火垂るの墓 劇場.comより引用
映画の概要と魅力
『火垂るの墓』は、スタジオジブリの高畑勲監督が手掛けた、戦争アニメーションの金字塔ともいえる作品です。直木賞を受賞した野坂昭如さんの短編小説を原作とし、終戦間近の神戸を舞台に、戦災孤児となった幼い兄妹がたどる悲劇的な運命を、生々しく、しかし詩的に描いています。
単なる悲劇として終わらせない、彼らの懸命に生きようとする姿、そしてその中で確かに存在した幼い兄妹の絆が、観る者の心に深い感動と、忘れられない問いかけを残します。
『火垂るの墓』のあらすじ
昭和20年、夏。戦争末期の日本。14歳の少年・清太と、まだ4歳の幼い妹・節子は、父親が海軍に出征中、母親と3人で暮らしていました。しかし、激しい空襲によって自宅は焼け落ち、最愛の母親も命を落としてしまいます。
身寄りを失った二人は、遠縁の親戚の家に身を寄せますが、戦時下の厳しい生活の中、次第に邪魔者扱いされるようになります。居場所を失った清太は、節子の手を引き、親戚の家を飛び出します。
二人は、古い防空壕に住み着き、わずかな食料を分け合いながら、二人きりの貧しくも温かい生活を始めます。蛍の光を頼りに過ごす日々、幼い節子が健気に兄を慕う姿…。しかし、戦争は容赦なく彼らを追い詰め、二人の運命は、過酷な現実へと飲み込まれていくのです……。(映画『火垂るの墓』劇場.comより引用)
実話に基づくストーリーの背景 – 原作に込められた作者の「鎮魂歌」
「これって実話なの?」そう思わずにはいられないほど、リアルで胸を締め付けられるこの物語。実は、『火垂るの墓』は、作者である野坂昭如さんの同名小説が原作となっています。
この原作は、野坂さん自身が戦災孤児として経験した出来事を基に書かれたものです。物語の全てが事実というわけではありませんが、特に幼い妹さんを栄養失調で亡くしたという出来事は実話であり、その時の後悔や、亡くなった妹さんへの鎮魂の意味が、この作品には深く込められていると言われています。
野坂さん自身の壮絶な体験が背景にあるからこそ、清太と節子の感情、そして彼らが直面する現実が、これほどまでに生々しく、そして痛々しいほどリアルに描かれているのです。
『火垂るの墓』のキャスト – 名優たちが命を吹き込んだキャラクターたち
『火垂るの墓』の感動を語る上で欠かせないのが、声優を務めたキャストの皆さんです。彼らの魂のこもった演技が、キャラクターたちに命を吹き込み、観る者の心を掴んで離しません。
清太役:辰巳 努 – 子役時代の評価と本作での存在感
主人公・清太の声を担当したのは、当時子役として活躍していた辰巳 努さんです。1980年代を中心に、映画『瀬戸内少年野球団』など数々の作品で高い評価を得ていた彼が、1988年の映画『火垂るの墓』で清太の声を務め、その存在が注目されました。
多感な時期の少年が抱える葛藤、幼い妹を守ろうとする必死さ、そして絶望の中でも光を見出そうとする強さ…辰巳さんの声は、清太の複雑な心情を見事に表現しており、物語の深い部分に触れることができます。
節子役:白石綾乃 – 天才的なキャスティング
節子の声を担当したのは、当時わずか5歳だった白石綾乃さんです。高畑勲監督が「節子と同年輩で関西弁の子役」という強い要望を出した結果、白石さんが選ばれました。
彼女の無垢で愛らしい声は、幼い節子の純粋さ、そして戦争という理不尽な現実の中で必死に生きようとする健気さを際立たせています。特に、清太と節子のささやかな日常の描写や、幼い節子の不安や悲しみを表現する声は、多くの視聴者の涙を誘いました。このキャスティングは、まさに天才的と言えるでしょう。
その他の主要キャスト – 物語を支えるベテラン俳優たち
- お母さん役:志乃原良子さん
関西を中心に時代劇で活躍された女優さんです。清太と節子の優しいお母さんの声は、限られた登場シーンながらも、物語に大きな影響を与えています。 - 叔母さん役:山口朱美さん
こちらも関西を拠点に活動され、時代劇では悪女役もこなすベテラン女優さんです。アニメ『じゃりン子チエ』のチエの母親役など、関西弁の中年女性役でお馴染みです。『火垂るの墓』の叔母さんの声は、そのリアルな表現が、観る者に様々な感情を抱かせます。
なぜ大人になると見え方が変わるのか? – 「仕方なさ」の背景にあるもの
映画『火垂るの墓』の深層 – 戦争のリアリティと平和への願い
小学生の頃に観た時には、清太と節子が叔母さんから酷い仕打ちを受けるシーンに「なぜこんなことをするんだ」と純粋な怒りを感じたかもしれません。しかし、大人になって社会の厳しさや、戦時下の極限状態を想像すると、叔母さんの行動もまた、「必死に生き抜くため」の選択だったのかもしれない、という複雑な感情が生まれてきます。
もちろん、それが正しかったとは言えませんが、戦争という非常時が、人々から余裕や優しさを奪い、人間性を変えてしまう恐ろしさを、この作品は私たちに突きつけてきます。それは、現代を生きる私たちが決して忘れてはならない、戦争のリアルな側面なのです。
物語に込められた「後悔」と「鎮魂」のメッセージ
原作が野坂昭如さんの実体験に基づくものであることから、『火垂るの墓』は、単なる戦争の悲劇を描くだけでなく、作者が抱え続けた亡き妹への「後悔」と「鎮魂」のメッセージが深く込められています。清太が節子を守ろうと奔走する姿は、野坂さん自身の痛ましい記憶の再現であり、この作品は、二度とこのような悲劇が繰り返されないようにという、強い願いが込められた「祈り」のようでもあります。
平和な時代に生きる私たちへの問いかけ
私たちは、平和で豊かな日本に生きています。しかし、『火垂るの墓』は、過去にこの日本で、幼い命が理不尽に奪われる現実があったことを、決して忘れてはならないと訴えかけます。
作品を観た後、もしかしたら「こんな時代があったなんて信じられない」と鼻で笑う人もいるかもしれません。しかし、それは決して過去の出来事として消費していいものではありません。この映画は、私たちに「平和の尊さ」、そして「戦争の愚かさ」を、改めて深く考えさせるための貴重な作品なのです。
映画詳細
タイトル | 火垂るの墓 |
劇場公開 | 1988年4月16日 |
上映時間 | 88分 |
キャスト(声優) | 辰巳 努 ⋅ 白石綾乃 |

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