映画「ホテルムンバイ」

ホテルムンバイ 映画 感想 120分以上

2018年公開 オーストラリア・インド・アメリカ合衆国のアクションスリラー映画
2008年に起きたテロ事件を基に作られた作品です。終始、手に汗握る展開!!!
今年公開の映画ではありませんが 今年見た映画の中で「1番良かった映画」候補入り

極限状態での「お客様は神様」

舞台はインド・ムンバイ。冒頭、この後大変な事件を巻き起こすテロリスト集団がボートでムンバイにたどり着くところから始まります。ただボートに乗っているだけなのに不穏な空気。

視点は変わりホテルムンバイで働く男性アルジュン。妻のお腹にはもうすぐ誕生する我が子が。この日は急いでいて仕事に向かった為 靴を履くのを忘れ料理長に「帰れ」と言われます。

時を同じくしてホテルムンバイにVIPが到着。富豪の娘ザーラとその夫デヴィット、2人の子供とベビーシッターの女性サリーの4人組。ホテルのサービス長から接客係にはVIPへの対応について事細かに説明があります。そこで夫がアメリカ人である事、それ故に家族内で問題があったのか結婚式はひっそりと行われた事が知らされます。

実際に起きたムンバイでのテロ事件を基に作られた作品でかなりリアルです。公式ページにも掲載されていますが聞き取り、事件に巻き込まれた方の手記を参考に緻密に再現されているようです。ホテルの中をテロリストの襲撃からなんとか逃げる様子がホテル従業員、富豪の娘さん、夫、ベビーシッターの目線で展開するので終始手に汗握る状態が続きます。

1番最初にホテルのサービス長がいう「ホテルムンバイではお客様は神様です」。サービス業をやっている人は1度は聞いた事のあるセリフです。でも命の危機に晒され、見つかれば容赦なく命を奪われてしまうかもしれない時にそのセリフを心から口にする事が出来るだろうか…と考えてしまいました。

あらすじ

インドの巨大都市ムンバイに、臨月の妻と幼い娘と暮らす青年アルジュン(デヴ・パテル)は、街の象徴でもある五つ星ホテルの従業員であることに誇りを感じていた。この日も、いつも通りのホテルの光景だったが、武装したテロリスト集団がホテルを占拠し、“楽園”は一瞬にして崩壊する。500人以上の宿泊客と従業員を、無慈悲な銃弾が襲う中、テロ殲滅部隊が到着するまでに数日かかるという絶望的な報せが届く。アルジュンら従業員は、「ここが私の家です」とホテルに残り、宿泊客を救う道を選ぶ。一方、赤ん坊を部屋に取り残されたアメリカ人建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)は、ある命がけの決断をするのだが──。

ホテル・ムンバイ公式サイトより

感動…でもテロは起きないが1番

当時、ホテルムンバイには500人以上の人が居たそう。その中で亡くなったのは32人。事件の規模的を考えると奇跡的な数字だと映画の最後にナレーションが流れます。

テロリストがホテル全体を制圧し銃や爆弾を持っていた事、救援部隊が来るまでに数日かかった事から考えても本当に奇跡的な数字。犠牲者のほとんどはホテルの従業員。逃げようと思えば逃げられただろうに お客様を守る その思いと使命の立派さに世界中から賞賛が集まったそう。

とても立派ですごい話なのだけれどこういったテロ映画を見る度に必ず反省する事があって。それが危険な事に巻き込まれた時の対応。平和ボケした国にいるので「屈んで身を守る」とか「全力で逃げる」とか登場人物の判断に一瞬びっくりする時がある。

ムンバイにはテロに対抗出来る兵力、警察の組織がなく遠く離れたデリーからの応援を待つしかなかった事が被害の拡大につながった事実も心が痛い(警察が何もしなかった訳ではない)。勿論、その後対策は練られたと思うが事件や事故が起こらないと対策を取って貰えない事は国内、国外問わず沢山あると分かる。危険な目にあっても守って貰えるとか助けが来るとかそんな思想は自らの身を危険に晒すのと同じだ。

この映画での好きな登場人物はホテル従業員のアルジュン。もうすぐ生まれる子供と妻を大切に思いながらもお客さんを守るためテロリストがウロウロするホテルの中で大奮闘。途中、頭に巻くターバンを外すシーンが優しさに溢れていてとても好き。

このシーン、実際にしていた事だとしたらとても良く人柄を表しているシーンだと思う。無宗教な国に居るとこの動作がどれだけの事かすぐには分からないけれどこの国に住んでいる人にとってはとても大切な事のはずだから。ターバンを外しながら言うセリフにも深みがある。

午後のロードショーで見てごめんなさい…と思う程 良い映画でした。映画館で見たかったけどハラハラドキドキして身体がカチコチになったかも。これから人に会う機会が増えるから皆にオススメしよう。

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ともぴん

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