映画「長いお別れ」

長いお別れ 映画 感想 120分以上

最後に残る記憶はどんな記憶だろうか

もし自分が認知症になったら「どんな記憶が残るんだろう」。人生を歩むと消したくなるほど嫌な記憶と何があっても忘れたくない記憶がある。残念?ながらどの記憶が残るかは誰にも分からない。

私の祖父は晩年、手術ミスにより認知症のような感じになっていた。上手に喋れず素早く動けない。記憶もまばらで妻である祖母や叔母、母の事を忘れていた。

ところが、自分に娘が居る ということだけは忘れていなかった。それもとても大切な存在だと認識していて、自分の友人、会社の同期、大学の同窓生がお見舞いにくるとしきりに「○○(母の名前)の会社の方ですか」と聞いていた。祖父にとって残った記憶は「自分には大事な娘がいる」という記憶だった。

映画「長いお別れ」。山崎努さん演じる認知症になった父を主軸にストーリーが展開していく。本人の意思に関係なく記憶がなくなってしまう病気だからこそ「残された記憶」に家族は驚いたり心を動かされたりするのだろう。

視聴方法

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あらすじ

初の商業映画監督作「湯を沸かすほどの熱い愛」が日本アカデミー賞ほか多数の映画賞を受賞するなど高い評価を獲得した中野量太監督が、認知症を患う父親とその家族の姿を描いた中島京子の小説「長いお別れ」を映画化。
これまでオリジナル脚本作品を手がけてきた中野監督にとっては、初の原作ものとなった。父・昇平の70歳の誕生日で久しぶりに集まった娘たちは、厳格な父が認知症になったという事実を告げられる。日に日に記憶を失い、父でも夫でもなくなっていく昇平の様子に戸惑いながらも、そんな昇平と向き合うことで、おのおのが自分自身を見つめなおしていく。
そんな中、家族の誰もが忘れていた思い出が、昇平の中で息づいていることがわかり……。

一家の次女・芙美役を蒼井優、長女・麻里役を竹内結子、母・曜子役を松原智恵子が務め、認知症を患う父・昇平を山崎努が演じた。

長いお別れ 映画.comより引用

映画の見どころ

▶実力派俳優たちの文句なしの演技に注目

36歳になり周囲の友人から「認知症」についてリアルな情報を聞く機会が増えた。認知症と診断されてもすぐに進行する(稀にそういう方も居る)わけではなく症状が出たり出なかったりすること。段々と認知症の時間の割合が長くなること…。

また、症状もさることながら身体も衰えていきせん妄に悩まされたりする事もあること。面倒を見る方も体力と仕事や家庭の両立が大変で…。そんな話が、この映画そのものだった。山崎努さんが演じている「認知症の父役」が前述した認知症の特徴そのもの。

そして、周囲の家族(娘と奥さん)が困惑する様や周囲のリアクションもとても分かりやすく表現されている。認知症は本人も大変だが、家族や周囲も大変であることがとても良くわかる。そして、誰も悪くない。山崎努さん始め、松原智恵子さん、竹内結子さん、蒼井優さんと実力派俳優たちが切なさやとまどいを丁寧に演じている。

▶親の老いと自分の人生

もし親に何かあったら…。不安になる事は、親の面倒を見ることより「自分の時間の使い方」。仕事や家事、自分の家族と向き合う時間。

当たり前だけど親の時間と共に自分の人生の時間も進んでいく。仕事を休んだらその分ブランクを空けることになる。家族との時間も同様。家事なんて誰かにシワ寄せがいくこと必須。

面倒を見るしかない そうなった時に「えいやっ」と自分の時間を差し出すことが出来るだろうか。実際に映画の中で2人の娘さんが海外滞在中(夫の赴任に伴い)、自分のこともままならない様子だったり。なかなか「えいやっ」と手を差し伸べる事が出来ないもどかしさを感じる。

▶原作と出演者について

この映画は、中島京子さんの「長いお別れ」という書籍が原作。タイトルは、この映画の大きなテーマでもある「認知症」のことを表しています。映画の最後にその事に触れるシーンがあります。楽しみにご覧ください

また、この映画には竹内結子さんが出演しています。彼女の優しい人柄が溢れ出る演技。ファンはたまらないでしょうし、私自身「もう彼女が演技している姿を見る事が出来ない」と思うと映画の内容、役も相まって涙を誘われました。彼女が年齢を重ね色々な役をやるのを見ていたかったと心から思います。

映画について

映画タイトル
長いお別れ

製作2019年
劇場公開 2019年5月31日

上映時間▶127分

出演キャスト
山崎努
松原智恵子
蒼井優
竹内結子

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ともぴん

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